企業の人事研修担当の皆さまは、今年度の新入社員研修も一段落し、ほっと一息ついている頃でしょうか。今回は、今年の新入社員研修で特に人気の高かった研修をご紹介したいと思います。

2020年11月。コロナ禍での二度目の春を前に、新入社員向けのグローバル教育研修をどのようにしていくか、某メーカーの研修担当者様と話し合っていました。新型コロナウイルス感染症の拡大によって様々な制限が生じるため、工夫の求められる研修でした。

■研修の仕込み

キーワードは、

  • オンライン
  • 異文化コミュニケーション&ダイバーシティ理解
  • 異文化間チームビルディング

昨年度の年間を通したコロナ対応で発見できた課題を加味し、これらのキーワードを軸に研修を練っていきました。また、加えて以下のようなご要望もいただきました。

「オンライン研修は単調になりやすいので、何かアクセントのある進め方を」

体験的な研修にすることで、配属後の海外関連業務に活かしてもらえるようにしたい」

「学歴、国籍も異なる新入社員が、ダイバーシティのメリットを理解し、チームビルディングの重要性に気づける効果的なアプローチを」

昨年は、とりあえず延期、とりあえず今できる範囲でと、とにかく「とりあえず」が多かったように思います。しかし今年は、コロナ禍だからといって研修規模を小さくしたり短縮したりすることなく、むしろこの状況下、オンライン実施ということを有効活用するくらいに考えて企画を進めました。

■今年のトレンド

今年の新入社員向け研修で特に人気の高かった要素として、異文化コミュニケーションスキル、ダイバーシティ理解、異文化間チームビルディング&マネジメント、と挙げられます。これらそれぞれの要素は、新入社員向けにレベル調整して理解度を最大にできるようプログラムする必要があります。同じ学習項目であっても、経験を重ねた一般社員向けと同じものを提供すると消化不良になってしまうので、こういった調整は不可欠です。以下より、具体的にこれらをどのように企画したかご紹介します。

  • 異文化コミュニケーションスキル

日本人講師と英語ネイティブ講師によるティームティーチングで、『セミナー+ミニワークショップ』を行いました。両講師それぞれの視点、常識、マナー、実際の経験談と共に異文化コミュニケーションの基本を学び、少グループに分かれてケーススタディにも取り組んでもらいました。同じ新入社員でも、英語のレベル差が大きくあったり、国籍の違い等でそれぞれの常識が異なったり、すでに研修の中で異文化コミュニケーションスキルが求められていました。言語だけに頼らず、非言語コミュニケーションを活用したやり取りをすることや、異なる文化を持つもの同士でビジネスをする際、他を尊重しつつ自身も発言を怠らないことなど、体験を通してその難しさと大切さに気付いていただくアプローチを取りました。

  • ダイバーシティ理解

新入社員向けのダイバーシティ理解教育は、多様性、違いを認め、多様なバックグラウンドを持つメンバーと働くことのメリットに気づくことをゴールとした取り組みをします。はじめにグループワークをとおして、同期の新入社員でも国籍、最終学歴、出身地、経験、知識、語学力等の違いがはっきりしていることを知ってもらいました。そして、『多様性を生かして生み出すことができること』に気づくためのグループワークを行いました。

  • 異文化間チームビルディング&マネジメント

外国人講師をグローバルチームメンバーの一人として見立て、小グループで合意形成をするグループワークに取り組みました。同期の新入社員同士でもすでに多様なメンバー構成でしたが、ここに外国人講師を迎えることでさらに多様性を実感できる環境をつくりました。講師は『指導者』としてではなく、グローバルチームメンバーの一人として、様々なタイプの人物像に扮してグループワークに参加しました。最終的にはそのチーム内における異文化間チームビルディングやチームマネジメントスキルを、『指導者』の視点で評価、フィードバックし、各自異文化間チームの中でのコミュニケーションの課題を認識する機会になりました。「こういう機会ってめったにないですよね」というコメントが印象的でした。

■成果・コメント・気づき

参加者のコメントの一部を紹介します。

「高コンテクスト文化と低コンテクスト文化でのコミュニケーションの取り方の違いを学んだことで、いわゆる『空気を読む』日本の常識とも言える考え方が海外では常識ではないことに気づき、いかに相手にわかりやすく言語化することが重要であるかがよくわかった。」

「異文化間でのコミュニケーションは『いかにわかりやすく伝えるか』が重要で、そのために非言語コミュニケーションを駆使し、よりわかりやすく、伝わりやすくするということが大切だと実感した。さらに、オンラインという制限のある環境だからこそ、より一層実感できた。」

「異文化間チームにおいては、一人で考えて出す結果よりも、多様性を持つチームメンバー同士での合意形成のほうがより良い結果を生み出すということを体験的に学ぶことができて良かった。ついつい、異文化コミュニケーション=英語(語学)という認識をもってしまいがちだが、語学力以上にチーム全体を巻き込む力や、ロジカルなコミュニケーションスキルの重要性を体験的に学ぶことができた。」

今回は、外国人講師が20名近く参加する研修となり、新入社員同士の多様性に加えて、外国人講師の多様性にも触れる機会となり、楽しみながらも非常に充実した研修の機会になったようです。一度に大人数の外国人講師を活用した研修ができるのもオンライン研修のメリットでした。来年もこのようなアプローチで実施したいですという研修担当者様のコメントからも、満足度が高かったことを知ることができました。