今回は、語学に特化した研修から少しはなれて、企業での異文化理解教育にフォーカスした研修をご紹介します。
10数年近く前から外国籍社員の採用・教育担当をしていらっしゃる担当者様より、「外国籍社員の離職率がやや高く、グローバル関連の研修でなんとかならないものか」というご相談を受けました。人事部としては、各部署で孤立しがちな外国籍社員向けに研修を企画することで、つながりが作りやすくなるのでは、というお考えでした。
離職する理由は外国籍社員に限らず様々あるかと思いますが、社内でマイノリティである彼らだからこそ生じる特有の悩みというものは想像ができました。わたし自身、外国籍の社員とともに働いているので、彼らの考えや悩みを耳にすることは身近にあり、いつも以上に気持ちが入りました。ただ悩みや不安を言い合うだけの会にならないよう、プログラム内容に工夫をこらし、以下の3点を目的とした研修を組み立てました。
① 多文化を知り視野を広げること
② これからのキャリアライフの構想
③ 外国籍社員間でのネットワークの構築
まず、日本、グローバル、自身の出身国のビジネス文化を比較するワークを行い、さらに、一般的な日本のビジネス文化と自身の勤務先のビジネス文化のすり合わせを行いました。 日々現場で感じている異文化に注目し、しっかりと話し合って考える時間を設けることで、新たな気づきや理解が得られたようでした。
また、参加者に入社1年目から5年目までの社員を集めたことで、縦のつながりも形成されました。不安を抱える1年目の社員にとっては、「先輩社員」の経験談を聞くことで、これからのキャリアライフを思い描きやすくなったようです。
普段は各部署に散っていて交わる機会がない外国籍社員たちにとって、縦にも横にもネットワークを構築するのに、この研修はとても有効でした。
「他の外国籍社員から学ぶことができて貴重な機会だった。」
「会社が自分たちのことを考えてくれていることがよく分かった。」
「自分のキャリアについて深く考える機会になり非常に良かった。」
それぞれの思いを持って研修を後にされました。
答えを受けるだけの研修ではなく、自ら考え理解し、置かれた環境・文化の中でどのように行動するのか、これから自社でどんなキャリアライフを歩んでいきたいのかを考える、建設的な研修となりました。
海外に派遣する日本人社員向けの研修を充実させることも大切ですが、グローバル採用で雇用された外国籍社員向けの研修を充実されることも、また大切であり、求められているということに気づかされた研修企画となりました。