今回は、英語力のベースとなる『語彙力』をUPさせるための、新しいアプローチについてお話ししたいと思います。

語彙力UPと聞くと、学生時代の単語テストで、必死にたくさんの英単語を暗記した記憶を思い起こし、「苦手だったな~」とネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

学生時代も終わってようやく英語から解放されたと思いきや、就職先ではTOEICのスコアに基準が課されるなど、社会的に英語熱は増すばかり。もはや英語からは逃げられない時代となっていますよね。

そんな環境の中で、「まずは英語の語彙数を増やさないと!」と奮起しても、昔と違って暗記ができなくなったなぁ…と嘆く方も多いと思います。でも、諦めないでください。そんなお悩みの解決の糸口を、ここでご紹介します。

認知特性へのアプローチ

ズバリ!そんな方々におすすめなのは、認知特性に基づく、あなたに適した学習方法を身に付けることです。「認知特性?何それ?」そうですよね、まず認知特性とは何かを簡単にご説明します。

認知特性とは、目で見る、耳で聴くなどといった、感覚器から入ってきた様々な情報を、脳の中で「整理」「記憶」「理解」する能力のことです。

認知特性の中で、優位な感覚器は人によって異なります。例えば、「口頭の説明のみだとすぐ忘れてしまうが、ホワイトボード等に絵や図を描きながら説明されると頭に入りやすい」(視覚優位者)、「説明書を読むと理解しやすい」(言語(文字)優位者)、「曲を聴いていると自然と歌詞を覚えている」(聴覚優位者)といったことです。

誰かとチームで仕事を進めていると、「なんだか嚙み合わないな~」とか、「この人からの情報は理解がしづらいな~」とか、そんなご経験はありませんか?もしかしたら、それは認知特性の違いからくるものかもしれません。

話を戻して、これを語彙力UPのための学習方法に当てはめると、自分の認知特性を知ることで、より効果的に英単語を覚える方法が見えてきます。

語彙力UPへの新しいアプローチ(事例)

ここで、語彙力UPに取り組まれた企業の事例を1つご紹介したいと思います。

あるクライアント様から、長年、社員のTOEICスコアが500点前後で伸び悩んでいるとご相談いただき、詳しくヒアリングさせていただきました。すると、リスニング対策にしても、リーディング対策にしても、そもそもベースとなる語彙力が足りていないのではないか?という仮説にたどり着きました。

仮説を検証するため、現状の語彙力がどれだけあるのか、スコアに伸び悩む受講生を対象に、インターネット上でWeblioの語彙力無料診断をしてもらい、結果を自己申告してもらいました。

結果は予想通り、、、ほぼ全員が、目標スコアの必要語彙数に対して、2,000~2,500語も足りないという、大きなギャップがある事がわかりました。一般的に、TOEIC600点突破を目指すなら、必要語彙数は5,000語、TOEIC700点突破を目指すなら、8,000語が必要と言われている中で、このギャップは大きな課題となりました。そもそも単語を知らないのであれば、音で聞いても(リスニング問題)も目で見ても(リーディング問題)も問題は解けないため、スコアが伸び悩むのは当然です。

しかし、これでようやく現状の把握と長年の課題がわかったとポジティブに考えることにし、解決に向けて以下のことを行いました。

①どれだけの語彙数が必要なのか割り出す

目安の必要語彙数 - 自分の持っている語彙数 = 新たに必要な語彙数

②認知特性のテストを受験

③結果を基に、3つのグループに分ける

  •  聴覚(音声)が優位な学習者
  •  視覚が優位な学習者
  •  言語(文字)が優位な学習者

④体験を通して学ぶ、ワークショップを開催

音声が優位な学習者には、音声や音読中心の学習法を、視覚が優位な学習者には、図形や絵を使って語感を刺激した学習法を、文字が優位な学習者には、ディクテーションを取り入れた学習法を行いました。これらの学習法をそれぞれ紹介して体験してもらったところ、受講した方々からは「自分に合っていて覚えやすい!」、「これなら続けられそう!」、「自分は視覚優位だと思っていたけど、聴覚優位の教材の方が覚えやすいかも」等々、様々な感想やご意見を頂きました。

自身の特性として感覚的に合う学習方法を発見し体感したことで、英語学習へのモチベーションUPにもつながったようでした。

言うまでもないですが、英語の学習には時間がかかります。仕事や日々の生活で忙しい我々にとって、英語の必要性、語彙力UPの必要性はわかっていても、なかなか勉強する時間を捻出すること自体、簡単なことではありませんよね。

そんな時は、まず自分が目標とするべき語彙数はいくつあるのか、自分の認知特性は何かを知って、自分自身にあった学習法を見出し、より短時間で効率よく学習していきましょう。