今回は、昨今の法人向けの研修運営でトレンドとなりつつある、クラウドの活用についてお話をさせていただきます。

研修でのクラウド活用と言うと、以前からLMS(Learning Management System:学習管理システム)という、クラウド上で研修を管理するシステムは存在していました。大企業や学校などで大人数の方が通年にわたって利用する場合には、コスト的にも導入メリットが見出せるものの、弊社では導入は進んでいませんでした。弊社の強みは、お客様としっかりとコミュニケーションをとることで、それぞれのニーズを詳細に把握し、本当に必要な研修をカスタマイズしてご提供できることです。そのため、研修運営システムにおいても、基幹業務の部分はしっかりと作られていますが、コーディネーション(調整)部分は、柔軟性をもたせるためにあえて特定のシステムに依存しない方法をとってきました。お客様が必要とする規模・期間・予算の中で最大の研修効果を生み出すことを最優先にしているため、LMSの導入は必ずしも必要不可欠なことではなかったのです。

しかし、クラウドの普及とともに我々が求める条件を満たすLMSサービスの選択肢が増えてきたため、試験的に導入を進め、効率的な運用研究とノウハウを積み上げ、必要に応じて弊社の研修にも採用が進んできています。そこで、導入を進めていく中でわかってきたクラウドを活用するメリットについて、具体例と共にご紹介したいと思います。

具体例 ① 資料・データのやり取りの効率化

研修運営において、受講者様へ教材、課題、アンケートなどのデータを展開する機会は非常に多いです。また、受講者様から研修会社宛て(または講師宛て)に提出していただくことも同様に多いのですが、どちらも今まではEメールでのやり取りが主流でした。課題やアンケートにおいては提出状況を一覧で把握する術はなく、未提出者が多いと、担当者様の負担が増えてしまうケースもありました。

LMSの導入は、そんな担当者様の負担軽減に大きく貢献しました。研修運営の多くをLMS上で見える化したことで、様々な連絡調整等の業務自体が大幅に減ったのです。例えば、研修に必要な資料は、LMS上にアップロードし、受講者様はご自身でダウンロードしていただけるので、別途担当者様から展開して頂く必要はありません。課題等の提出に関しても、提出したか否かのステータスは一覧で把握できるので、管理が劇的に楽になります。

また、リモート化が進んだ昨今の研修では、オンライン会議システム使用のために招待リンク(URL)などの展開も必須となっていますが、こちらもLMS上で共有可能なため、完全なワンストップ化が叶いました。在宅勤務が一般的になりつつある今日では、多くのものがデータでのやり取りとなっているため、一つのLMSというクラウド上で一度に全体共有ができることは、多くのメリットを生み出すと言えるかと思います。

具体例 ② 予約・時間変更の効率化

研修担当者様を悩ませる大きな問題の一つに、受講者様の急な予定変更が挙げられます。例えば、1コマ1時間のプライベート研修が5コマ連続で予定された日があるとします。そのうちの1名が業務の都合で研修を受けられなくなり、別の時間に受講したいと連絡を受けました。空きコマを作らないために、どなたかスイッチが可能な方を探して調整し、研修会社にもその結果を連絡しなければいけません。担当者様にとって非常に負担の多い業務ですね。これを軽減する案はないものか…。

この課題に対して弊社では、Excelファイルとクラウドを上手く活用して、負担軽減を図りました。具体的には、「Excelファイルをクラウドで共有し、共同編集する」ことです。

まずは事前に「空きコマを作らない」「同じ週中に振替を行う」など、最低限厳守していただくルールを決めます。そして、日程・時間変更が必要になった際は、Excelのリストを見てスイッチできる方をみつけていただき、結果をExcelファイルに入力、変更したことを担当者様に報告していただきます。担当者様のすることは、変更が生じたことを我々に伝えるのみです。共同編集できるExcelで情報共有することで、調整をすべて受講者様にお願いできる環境を整備し、ルールを明確にしたことで、受講者様が研修を「自治」できるようになりました。この結果、担当者様の負担は格段に軽減されるようになったのです。

これは、クラウドとExcelファイルだけを用いたかなりシンプルな例ですが、弊社で導入しているクラウドサービスでは、ビジネスの予約機能に特化したアプリケーションも提供されているので、今後より複雑な研修形態にも応用していけそうです。これからもクラウド化を推進し順次導入していくことで、担当者様の負担軽減と運営の更なるブラッシュアップを図ってまいります。

今日では、新しいテクノロジーが日々生まれ改良され続けていますね。それだけに、情報収集と知識の更新には大変な面もありますが、しっかりと長所も短所も吟味をした上で、活用できるテクノロジーは上手に取り入れながら積極的に試行錯誤していきたい、そういった思いで日々の研修企画に取り組んでおります。